過去30年の日米ドルコスト平均法によるリターン比較 20210910

 過去記事「日本株は米国株に比べ何が劣るのか」で1985年以降の日米比較を書いてみたが、今回は日本のバブル崩壊直後の1990年からドルコスト平均法で積立投資した場合の日米比較をしてみた。


1990年から2021年までの日米ドルコスト平均法の比較。

 「日経平均をバブル最大付近からドルコスト平均法で買い続けるとリターンは米国株より大きくなる」という真偽不明の記事を読んだことがあった。

 結構前に読んだので、記事の内容については確かでないが、覚えている内容は、

 「バブルのピークから日経平均をドルコスト平均で買い続ければ、直後の1990年代初め以来ずっと下がり続けているので、安い単価で多くの数量を買えるため、値下がりを許容して、辛抱強く買い続けることが出来れば、2013年以降の日経平均の上昇で米国インデックスを上回る」

 というような内容だったように記憶している。

 ずっと本当かよ? と思っていたので、実際に検証してみた。


日米のドルコスト平均法によるリターン比較シミュレーションの条件は以下。

  • 日経平均のファンドを1990年1月から2021年8月まで毎月1万円を定額で買い続ける
  • SP500のファンドを1990年1月から2021年8月まで毎月100ドルを定額で買い続ける。
  • 日経平均、SP500ともに税金、手数料、配当は考慮しない。
  • データは各月次の月末終値を使用。

※シミュレーションで使用した元データは日経平均、SP500ともにYahoo finance USから引用した。

積立シミュレーションの結果


 上に結果のチャートを示すが、日経平均をドルコスト平均で買い続けたシミュレーションの結果、日経平均はSP500にボロ負けだった。

 以前読んだ記事の内容は、私の記憶違いだったのだろう。

  • 30年後SP500シミュは日経平均シミュに2倍以上の差をつけている。
  • SP500シミュには負けたが、30年後の日経平均シミュは元本割れはしていない。積立額(元本)に対する増加率は1.96倍。
  • 対して、SP500は積立額(元本)に対する増加率は4.75倍。
  • 日経平均シミュは積立額に対し元本割れしている期間がITバブル崩壊とリーマンショックの2回あるが、その期間はどちらも約5年。

 日経平均積立シミュのチャートを見ると、日経平均のシミュは2002~2003年のITバブル崩壊の底と2009年のリーマンショックとのときの下落で、それぞれ最悪のときに積立額の約半値になっている。このような状況で積立を続けるのは難しいのではないか、と思う。

 SP500シミュレーションのチャートを見ると元本割れしている時期はなかった。ただし、リーマンショック時の2009年1月に

積立額:2.30万ドル 
ファンド総額:2.33万ドル

と元本割れ寸前まで下がっている。

※作成した積立シミュレートのデータは月次データとしたので、日単位で調べると、元本割れしている日があるかもしれない。

 積立とは関係ないが、日本株は米国株に比べ、上昇が小さいし、下落も大きくなっている。また、回復までの期間も長くなっている。

まとめ

 積立開始時期を調整すれば違う結果になるのだろうが、そもそもドルコスト平均法は時期を選ばず、粛々と積み立てるのがやり方であるし、積立開始時期を操作してシミュレーションするのはどうかと思い、下落が一番厳しい日本バブル崩壊の直前を開始時期として設定した。

 感想として、2021年8月時点(現在)で日経平均はバブル時の最高値をまだ更新していないのにもかかわらず、ファンド総額は約2倍になっているという結果は意外だった。ドルコスト平均法はやはりすごいと思った次第。
 
 しかし、相場が弱い市場(下落が大きく、上昇が小さい)は長期の積立投資をしてもリターンは削られる、という当たり前のことが分かった。
 
 SP500はドルでなく、日本円で投資した結果をシミュレートしたかったが、為替が絡んでちょっと複雑になるので、今後シミュレーションしてしUPしたいと思う。


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