難しいテーマだが、自分自身の頭の整理の意味でも、頑張って書いてみた。
ひとつの意味に対して複数のワードがあり、面倒くさいですが、ご容赦下さい。
株の中身とは何か
図のように、会社の資産はバランスシート(貸借対照表)で表される。
会社はバランスシートの左側の資産という仕組みを使って利益を作り出す機械と考えられる。
図内の言葉は複数あるようなので、一応、複数書いておいた。同じ個所にある言葉は意味的には同じ。
株を買うということは、この表の右下の「資本」の一部を買うということ。
会社が発行している株を全て買えば、その会社はその人のものになる。同時に右上の負債も引き受けなければならない。
しかし、株主総会は多数決なので、実質的にはその会社の株を半分以上買えば、現経営陣に異議を申立てて、経営者を入れ替えて自分が社長or会長になり、会社を乗っ取ることが出来る。それ以下でも大量に株を所有すれば、株主還元を要求したりもできる。
要するに株を買うというのはその会社の一部を所有するということ。
英語には適した言葉があって株主の事を
「partial owner」または「share holder」=部分所有者 という。
本来、会社(この図では「資産」)が得た利益は株主のものであるが、会社は事業拡大のために利益を事業に投資し、その残り株主に配当する。
株主は将来的に会社が得る利益の一部を得るのために株式を買う。
この図の右上の「負債」は金融機関からの借入、社債発行、買掛 など借入によって調達した資金がここに入る。
株価が上昇した場合、会社にとって利益はあるのか
株価が上がっても、短期的にはその会社には利益はない。
株価が上昇してもバランスシートの右下の「資本」が増える訳でないからだ。
上場時に株式公開すれば、上場時の株価と株数で株を売り、既に資金を得ているので、その資金額は帳簿上は変わらない(簿価会計)。それに、経営者がその資金をどう使うかは、株主は基本的には干渉できない。(大株主が異議申し立てをすれば別)
ただ株価の上昇が続けば、会社の知名度が上がり、長期的には下記メリットがある。
・人材確保が容易になる。
・取引先が増え、仕入れ価格を下げやすくなる。
・金融機関からの融資を受けやすくなる。
・新規に株式を発行する(増資)場合、株価が高ければ資金を多く調達できる。
ただし、新規株式発行は発行株数の割合の分、株価が下がる副作用がある。
↑株式の希薄化
等の利点がある。
株価の価値をどう判断するか
株価の価値を判断する指標は色々あるが代表的なもので、
・PER(Price Earning Ratio) 株価収益率
株価に対する一株あたり純利益の割合
PER=株価/一株あたり利益
2021.7現在の値は
米国:37.9倍
日本:16.4倍
全世界:29.8倍 となっている。
25倍以上は割高とされているので米国株、世界的にも現在、割高といえる。
情報元
世界各国のPER・PBR・時価総額 (毎月更新) – myINDEX
・PBR(Price Book Ratio)純資産倍率
株価に対するその年の純資産の割合。
PBR=株価/一株当たり純資産(株主資本)
2021.7現在の値は
米国:4.8倍
日本:1.4倍
全世界:3.0倍
情報元
世界各国のPER・PBR・時価総額 (毎月更新) – myINDEX
PBRは割安、割高の基準は明確でないが、実感としては3倍を超えると高い印象がある。
米国を含め現在はこの指標でも割高といえる。
日本株では多いが、PBRが1倍以下だと、(時価総額<純資産)その会社の株を全部買って純資産(資本)を全部売れば、純資産と時価総額の差分だけ儲けることが出来る。要するに事業を撤退しなさいという株式市場からのサインとなる。
しかし、実際に株を全部買って、純資産を売るなんて事をやるファンドはないし、純資産は評価額にすぎず、売却すると評価額よりかなり低い価格でしか売れないし、負債の分もあるので、思考実験でしかない、と思う。
そもそもファンドが買うのは将来的に有望な会社であるし、そのような有望な会社のPBRが1を割っていることは普通はない。
一昔前は俗にいうハゲタカファンドが低PBR(本来は資本リッチというと思うが、一般的には資産リッチとかあるいはキャッシュリッチという)の会社の株を買って株主還元を訴えたり、といったことが結構あったが、ここ数年は友好的な買収が多いように思う。
・ROE(Return On Equity) 株主資本利益率
株主資本に対する純利益の割合。
株主資本(=株主の金)が効率的に利益を生み出しているかを見る指標。
ROE=純利益/株主資本
10%以上なら成長が止まっていない、といったイメージ。
5%前後なら成長が鈍化した大企業というイメージ。
各国のROEの値をさがしてみたが、うまくまとまっているサイトがなかった。
ので感覚的に
米国:10~20%
日本:3~10%
といったところだろうか。日本の方がやはり効率が悪い。
まとめ
株を所有する、ということはその会社の一部を所有すること。
その株が将来的に魅力があるかどうかを判断するための指標は上記以外の指標もあるが、それらについては今後書きます。
ところで、ここ1年くらいの一本調子に株が上がってる様が怖い。
まだ上げそうな気配だが、米国のPERが38倍というのは危険レベルなのだろうか。
米国企業の今年の業績は悪くないようなので、それを織り込んでいるだけなのか、いずれにしてもテーパリングのタイミングには注意が必要と再度思った次第。
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